個人向け国債の発行額推移から考える英国ISAとNISAの違い

日本経済新聞のニュースに、個人向け国債の2013年末時点の発行残高が1年前と比較して12%減となったというものがありました。記事ではその原因として、異次元の金融緩和による金利下げ止まりと、NISA開始による投資マネーの株式市場への流出があげられています。

日銀の大規模な金融緩和で金利が低水準にとどまっているためだ。少額投資非課税制度(NISA)が始まり、株式市場に個人マネーが流れていることも影響したようだ。

個人マネーは利幅が小さい国債から株式に向かっているとみられ、国債の新規販売額は償還や中途換金の金額を下回る。残高はピークだった2009年末に比べ36%少ない。

出典 : 個人向け国債の発行残高12%減 13年末、7年ぶり低水準

財務省のホームページではいろいろな財政に関する情報が掲載されており、その中に個人向け国債のページもあります。「新着情報」の2014年4月4日付の欄に「発行額の推移はこちら」というリンクがあったので、そのエクセルファイルをのぞいてみました。ちなみに、発行額であり、日経新聞に記載のある発行残高とは別物のようです。

参考 : 個人向け国債トップページ : 財務省

それによると、2013年の発行額は固定3年、固定5年、変動10年の3種類合計で3兆399億円となったようです。2012年が1兆6764億円、2011年が2兆9334億円、2010年が1兆278億円、2009年が1兆3598億円、2008年が2兆2929億円、2007年が4兆6617億円です。

  • 2004年 : 6兆8210億円
  • 2005年 : 7兆2712億円
  • 2006年 : 7兆1383億円
  • 2007年 : 4兆6617億円
  • 2008年 : 2兆2929億円
  • 2009年 : 1兆3598億円
  • 2010年 : 1兆278億円
  • 2011年 : 2兆9334億円
  • 2012年 : 1兆6764億円
  • 2013年 : 3兆399億円

これだけを見ると、2004~2007年が特別好調だっただけで、それ以降は特に変動していないように感じます。ちなみに2014年は4月までで1兆7171億円です。このままのペースでいけば1年間で5兆円を超えます※1。金利が下がったことはもちろん関係があるでしょうが※2、昨今の発行残高の落ち込みにNISAは関係ないようです。

※1 2013年までは固定5年、変動10年は年4回発行でしたが、2014年から毎月発行に変更されています。その影響があるので、2013年以前と2014年の発行額は単純に比較することはできません。

※2 変動10年は、2011年6月までに発行されたものと、それより後のものとでは金利の設定方法が異なります。前者は基準金利から0.80%を差し引いた値、後者は基準金利に0.66を掛けた値です。

国債クイズの判定結果
財務省のホームページでは「コクサイ先生の国債クイズ」というテストも受けられます。

イギリスのISAは預貯金や公社債も非課税の対象

NISA(日本版ISA)は、イギリスのISA(個人貯蓄口座)をもとに作成されたものです。イギリスのISA口座開設者は総人口の約38%にあたり、国民に知れ渡っているだけでなく、実際に活用されているようです。

その理由として、イギリスのISAには「株式型ISA」と「預金型ISA」があり、前者では公社債や保険、後者では預貯金や公社債投信も対象となっており、日本とくらべて非課税対象の金融商品が格段に多く、またリスクの小さいものも対象となっているということがあげられます。

リスク選好度の低い日本でこそ、そういった金融商品への適用が望まれていると思います。実際にそうした制度改正を望む声があがっていると思うのですが、しかし金利が低くなる中で自己防衛をしていかなければいけない時代において、「貯蓄から投資へ」という流れ、目的を考えると単純にそのような改正がなされて良いものかは、すぐには判断できません。

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